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ガザミ(ワタリガニ):甲幅は15cmを超える大型のカニ。
かつて東京では、カニといえばガザミのことを指していたほど一般的な食用ガニだった。 晩春から初冬まで、冬以外はほぼ季節を問わず漁獲されるが、旬は秋とされている。
肉と中腸腺(カニミソ)、メスの卵巣(内子)を食用にする。
ズワイガニなどに比べると安価に出回るが、味は引けをとらず、殻もわりと薄くて食べやすい。
料理法も多彩で、塩ゆで、蒸しガニ、味噌汁などで食べられる。ただし生きた個体を熱湯に入れると、苦しさのあまり自切して脚がバラバラにもげてしまう。そのためふつうは水のうちから入れるか、輪ゴムなどで脚を固定してから料理している。現在は水揚げ直後から、すでに輪ゴムを取り付けている所もある。
ズワイガニ :学名 Chionoecetes opilio は、十脚目ケセンガニ科(旧分類ではクモガニ科)に分類されるカニ。深海に生息する大型のカニで、重要な食用種でもある。
ズワイガニ(オピリオ)、オオズワイガニ(バルダイ)、ベニズワイガニ (ベニズワイ、紅ズワイガニ)、オオエンコウガニ(丸ズワイガニ)
冬の味覚として人気が高い。体色は暗赤色だが、熱を加えると赤くなる。塩茹でや蒸しガニ、カニ鍋(カニスキ)などで食べられ、新鮮なものは刺身にしても食べられる。缶詰などの原料にもなる。上品で甘みがある肉とこってりした味の中腸腺(カニミソ)、メスの卵巣(内子)も食用にする。
甲羅によく付着している黒いつぶつぶはカニビルの卵で、これが付着しているカニは脱皮後の時間が長いことを示しており、身入りが良い証拠とされることもある。
ケガニ :最大で甲長120mmに達し、オスの方が大型になる。全体的にずんぐりした印象で、体は全身が淡赤褐色で、体を覆う殻はあまり硬くはないが、短い剛毛が密生し、和名はこれに由来する。
甲羅はわずかに縦長の円形で、鋸の歯のような棘が両眼の間に4つ、甲羅の側面に7つある。歩脚は太く、甲羅と同様に短い毛と棘が密生する。
分布域ではズワイガニやタラバガニなどと並ぶ重要な漁業資源で、おもに籠漁で漁獲される。
塩茹でや焼き物、缶詰などに加工され、身をほぐして色々な料理に使われる。ズワイガニやタラバガニに比べると体が小さく可食部も少ないが、食味に大変優れ身に甘みがあり、カニミソの量が多い。北海道を代表する食材となっている。
マツバガニ :大型のカニで、先の黒い棘が多いのが特徴。ハサミの先も黒い。甲幅は12cmから15cmほど。
ズワイガニのことをマツバガニと呼ぶ地方もあるが、ズワイガニはクモガニ科に属する別種である。
アサヒガニ :地方名としてカブトガニ(鹿児島)、ヨロイガニ(長崎)、ショウジョウガニなどがある。
日本を含む分布域の各地で広く食用に漁獲される。漁獲量は多くはないが、日本では九州南部で比較的多く漁獲される。旬は冬とされている。
カニ類の多くは加熱されると赤くなるが、本種は生時から既に赤く、加熱調理しても色は変化しない。甲羅内に白い身と黄褐色の中腸腺(カニミソ)が詰まっていて、塩茹でや鍋料理などで食べられる。美味なカニとして祝いの席などに出されることもある。
サワガニ:。日本固有種で、一生を淡水域で過ごす純淡水性のカニである。
丸ごと唐揚げや佃煮にして食用にされる。和食の皿の彩りや酒肴などに用いられる。養殖もされており、食料品店などでもしばしば目にすることができる。後述のように重要な寄生虫の中間宿主となっているので、食べる際にはよく火を通さなければならない。
タカアシガニ :日本近海の深海に生息する巨大な蟹で、世界最大の現生節足動物である。
食用になるが、肉が水っぽく大味と評価されがちであり、それゆえ大正初期の頃から底引き網漁でタカアシガニが水揚げされるも見向きもされていなかった。
塩茹でや蒸しガニ等にして食用にされる。メスの方が美味しいという話もあるが、巨体の割にはあまり肉が多くない。
タラバガニ:タラバガニ属はタラバガニを含む5種からなる。和名に「カニ」の名があるが、生物学上はヤドカリの仲間である。
塩茹でや蒸し蟹として流通することが多く、そのまま食べる以外にも様々な料理に使われる。日本では半透明の生身を刺身で賞味することもあるが、加熱したものより繊維質が強靭で、旨みも薄い。
アブラガニ:タラバガニ科に分類される甲殻類の一種。名前に「カニ」とあるがヤドカリの仲間に分類される。タラバガニに近縁で食用にもなるが、偽装表示されて流通したことが問題となったことがある。
タラバガニと同様に食用に漁獲されるが、アブラガニの漁期は1月-6月、タラバガニの漁期は7月-12月と重複せず、流通期間も異なる。食味はタラバガニよりやや劣るとされるが、冷凍焼け、茹ですぎ、旬を外すなどで味の落ちたタラバガニと比べると遜色が無くなる。度重なる報道により知名度が向上し、値段も相応に安くなったことから、消費者による指名買いも増えているという。
ハナサキガニ:タラバガニ科に分類される甲殻類の一種。タラバガニの近縁種で食用に漁獲される。名前に「カニ」とあるが、ヤドカリの仲間に分類される。
甲幅・甲長とも15cmほどで、甲殻類としては大型だがタラバガニほどではない。甲は後部中央が少しへこんだハート型をしている。また、タラバガニよりも体のとげが長く、脚は太く短い。
漁期の関係から旬は夏から秋。殻が硬くて棘も多いので、殻を剥く際はキッチンバサミなどの使用が望ましい。大味と評されることもあるが、脚の肉が太く身も多い。ただし油分が多く味が濃厚であることから大量に食べるには向かないとも言われる。とくに刺身など生で食べる場合は油分に加え、独特の甘い香気があるため尚更である。塩焼、塩茹でなどの他、脚のぶつ切りを味噌汁に入れた「鉄砲汁」なども作られる。
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